問題18 原文
問題 18 「生活者としての外国人」を対象とした日本語教室で、レディネス・ニーズ調査
が実施された。 以下の <資料> は、その調査に同席した新人日本語教師がとった簡
易なメモである。この資料について、後の問い(問1〜5)に答えよ。
<資料>
学習者名 Cさん Pさん Vさん
プロフィール 中国出身 ペルー出身 ベトナム出身。
日本での育児が一段 祖父が日本人である 日本の専門学校で学
落したところ ことから在留資格を ぶために来日
取得 「資格外活動」の枠
工場勤務 で工場で働く。
学校のカリキュラム
の一環として、目下、
介護福祉士養成施設
で実習中
レディネス 約16年前、来日を機 日本在住歴7年 日本在住歴2年半
に日本語学習開始 家族とはスペイン語 学校で日本語の授業
3年ほど勉強し、そ で話している。 を受けているが、専
の後中断 簡単な日常会話や仕 門的な勉強に偏って
1年ほど前から日本 事場で使う日本語に いる。
語の学習を再開。 大きな支障はない。 介護福祉士を目指し
昨年、日本語能力試 ただし、読み書きは て勉強中
験N2合格 苦手
家族とは日本語でや 日本語の試験は受け
りとりしている。 たことがない。
ニーズ a 就労 近い将来永住権を取 国家試験合格
日常会話は問題ない 得できるように収入 その一方で、生活で
が、接客特有の敬語 の安定化を図りたい。 も b 介護の現場でも
やビジネスマナーを 同僚ともっと話せる 役立つような日常会
学びたい。 ようになりたい。 話の練習がしたい。
市役所や病院に行っ
ても困らないように
なりたい。
ver2 39
問1 文化庁文化部国語課が取りまとめた「『生活者としての外国人』に対する日本語教
育の標準的なカリキュラム案について」によれば、「生活者としての外国人」とは具
体的にどのような人を対象に据えているか。最も適当なものを、次の1~4の中から
一つ選べ。
1 日本国内で生活を営むすべての外国人
2 「活動資格」ではなく「居住資格」としての在留資格を得ている外国人
3 まとまった学習時間を確保するのが難しい日本語学習者
4 永住権を得て日本に居住する日本語学習者
問2 <資料>におけるPさんとVさんが有する在留資格として最も適当なものを、次の
1~4の中から一つ選べ。
Pさん Vさん
1 定住者 介護
2 定住者 留学
3 永住者 特定技能
4 永住者 特定活動
問3 <資料>の下線部 a「就労」を目標とし、タスク・シラバスを主とするコースにお
いて、各授業で取り上げるのにふさわしくない項目を、次の1~4の中から一つ選べ。
1 求人票から必要な情報を読み取るタスク
2 履歴書作成タスク
3 面接場面のロールプレイ・タスク
4 敬語の動詞の形を正確に言うタスク
ver2 40
問4 <資料>のVさんのように、日本における介護人材の育成は喫緊の課題であると言
われるが、さまざまな問題点も抱えている。介護人材育成に関わる諸々の問題として
不適当なものを、次の1~4の中から一つ選べ。
1 現場の日本人スタッフや利用者が、外国人スタッフの日本語レベルに合わせた「や
さしい日本語」を実践的に使わない、または忙しくて実践できない。
2 介護現場で求められるコミュニケーション・スキルには、言語だけではなく、目線、
表情、ジェスチャー等、非言語的な要素も多分に含まれるため、その習得は容易では
ないが、それらの指導法が確立されているわけではない。
3 受け入れ側の異文化理解やコミュニケーション研修が不足している場合も多く、そ
れが結果的に、同化政策的な態度を招いてしまうケースが報告されている。
4 現在、外国人の介護人材を受け入れるルートは複数用意されているが、各ルートで
求められる日本語要件や学習サポートの体制が画一的で、柔軟さを欠いている。
問5 <資料>の下線部 b「介護の現場でも役立つような日常会話」に関して、介護現場
における会話の難しさの説明として不適当なものを、次の1~4の中から一つ選べ。
1 方言やオノマトペ、および、高齢者特有の表現が多く用いられる。
2 待遇表現の適切な使用が求められる場面が多い。
3 曖昧さを避けるために、文末表現などをはっきりと言う必要がある。
4 利用者は、必ずしも明瞭で聞き取りやすい発音をするとは限らない。
ver2 41
解答入力
上の原文にある各問の選択肢を確認し、下で選択肢番号を選んでください。
解答・解説(原資料)
以下は解答解説PDFから該当問題の説明を収録したものです。採点後に確認してください。
問題18(生活者としての外国人、介護人材育成)
地域社会で暮らす「生活者としての外国人」のプロフィールを読み解き、適切なカリキ
ュラム編成や介護現場における日本語支援の課題について理解を問う問題である。
問1 正答:選択肢1
文化庁が取りまとめた「『生活者としての外国人』に対する日本語教育の標準的なカリ
キュラム案について」において、「生活者としての外国人」とは、在留資格の種類や滞在
期間を問わず、日本国内で生活を営む外国人の「生活」の側面を指している。
問2 正答:選択肢2
Pさんは、日系3世(祖父が日本人)として来日している点に注目されたい。Vさんは、
専門学校(介護福祉士養成施設)に通う学生であるため、現時点での在留資格は「留学」
である。
問3 正答:選択肢4
タスク・シラバスは「求人票を読む」「面接を受ける」といった実際の社会生活上の「タ
スク(達成すべき課題)」を中心に構成する。選択肢4のような「敬語動詞の活用形を正
確に言う」といった文法・形態の正確さを目的としたドリルは構造シラバス的なアプロー
チである。
問4 正答:選択肢4
現在の外国人介護人材の受け入れルート(EPA、在留資格「介護」、特定技能、技能実習
など)は、制度ごとに求められる日本語能力(N4〜N2など)や学習支援体制が異なっ
ており、むしろ「複雑でバラつきがあること」が現場の課題となっている。
問5 正答:選択肢3
設問では、「介護現場における会話の難しさの説明」として不適切なものを選ぶように
求められている点に注意する。明確に述べるより、ちょうどよい塩梅で曖昧に言うことの
ほうが難しい。介護現場におけるコミュニケーションでは、利用者の心情に配慮した和ら
げ表現や共感的な姿勢が重視される。曖昧さを排除するために「文末表現などをはっきり
言う(選択肢3)」と、相手にきつい印象や威圧感を与えてしまうおそれがあるため、適
切な会話法とは言えない。
原文はPDFテキスト抽出結果をもとに収録しています。図表・段組み・下線等の視覚的な再現は完全ではない場合があります。