問題11 原文
問1 <資料>の下線部 a に記されたX先生の考え方の特徴として最も適当なものを、次 の1~4の中から一つ選べ。
問2 <資料>の下線部 b「その状況は、必ずしも否定的に捉えられるべきものではない」 について、この見解と関連がある考え方として最も適当なものを、次の1~4の中か ら一つ選べ。
問3 <資料>の下線部 c「継承語学習は大切だ」とあるが、大切だと言い得る理由とし て不適当なものを、次の1~4の中から一つ選べ。
問4 <資料>の下線部 d「葛藤」の例として不適当なものを、次の1~4の中から一つ 選べ。
問5 <資料>の下線部 e にあるように、「対話型アセスメント」には紙面によるテスト 等にはない利点があると考えられている。その利点を説明するものとして不適当なも のを、次の1~4の中から一つ選べ。
解答・解説(原資料)
以下は解答解説PDFから該当問題の説明を収録したものです。採点後に確認してください。
問題 11(児童の言語発達と DLA)
児童の言語発達や対話型アセスメントに関する出題である。年少者の言語発達の特性や、
複数言語環境にある児童生徒の教育とそこに見られる心理的葛藤、および「対話型アセス
メント(DLA)」の理念について理解しておく必要がある。
問1 正答:選択肢4
下線部 a では、リンさんが「休み時間にお友達と楽しそうにしゃべっている」ことを根
拠に、日本語習得への期待が語られている。しかし、カミンズが提唱したように、「日常
会話能力(BICS)」(会話の流暢さなど)と「教科学習言語能力(CALP)」は同様の発達
過程を経るとは限らない。一般に、BICS は比較的短期間で身につくが、CALP の習得には
より長期間の継続的な支援が必要とされる。また、単なる日常会話能力とは異なり、CALP
は学校教育や認知的活動を通じて育成される能力であり、母語話者か否かにかかわらず、
個人差が生じやすい。そのため、この点を考慮したサポートが望まれる。
問2 正答:選択肢2
下線部 b「日本語だけで考える環境が徹底されておらず、ベトナム語(母語)も使って
いる状態」を否定的に捉える考え方は、日本語の習得とベトナム語の習得が別個に進むこ
とを想定している。すなわち、複数の言語が脳内に別々に独立して収まっているという分
離基底言語能力モデル(いわゆる風船説)に寄せた見方だと言える。それに対し、下線部
b を否定的に捉えない Y 先生の考え方は、学習者が持つすべての言語的リソースを一体の
ものとして捉える「トランスランゲージング(トランスランゲージング教育論)」に寄せ
た見方であり、これは共有基底言語能力の考え方に依拠している。
問3 正答:選択肢3
継承語とは、主に親族・家庭内で使われる言語とは異なる言語環境に身を置く児童生徒
にとっての、親族・家庭内言語を指す。したがって、継承語とはそもそも、当該の児童生
徒が臨界期を迎える前に接している言語であることが多い。いずれにせよ、継承語学習の
教育的・心理的な意義を説明するものとして、継承語に触れる時期は主たる理由とは言え
ない。なお、選択肢1、2、4は継承語学習の重要性を説明するものである。
問4 正答:選択肢3
葛藤とは、二つの気持ちの間で板挟みになって悩むことを意味する。選択肢3は「これ
以上学ぶ必要がないと考え、学習意欲を失った状態」とあり、二つの感情がぶつかり合っ
た状況ではない。
問5 正答:選択肢1
対話型アセスメント(DLA)は、対話を通じたやりとりの中で、単なる日常会話力だけで
なく「教科学習言語能力」まで含めた「包括的なことばの発達ステージ」を見るものであ
る。 したがって、<聞く・話す> <読む> <書く> の技能すべてが評価対象となる。
なお、選択肢2、3、4はいずれも「対話型アセスメント」の利点を説明するものである。
原文はPDFテキスト抽出結果をもとに収録しています。図表・段組み・下線等の視覚的な再現は完全ではない場合があります。