問題12 原文
問1 <資料A>の学習者のうち、情報の処理プロセスにおいてボトムアップ処理に依存 する傾向がある者の組み合わせとして最も適当なものを、次の1~4の中から一つ選べ。
問2 <資料B>で示された聴解タスクの前作業として行うのに最も適当なものを、次の 1~4の中から一つ選べ。
問3 <資料B>で示された聴解タスクに取り組むにあたり、Nさんに対し個別のアドバ イスを与えることにした。Nさんへのアドバイスとして最も適当なものを、次の1~ 4の中から一つ選べ。
問4 <資料A>の学習者Oさんに対し個別のアドバイスを与えることにした。Oさんへ のアドバイスとして最も適当なものを、次の1~4の中から一つ選べ。
問5 <資料B>の下線部「『~を招く』『~に伴い』『~を余儀なくされる』などの硬 い表現に注意を向けさせ、覚えてもらう」のための活動は、授業のどのタイミングで どのように組み込むべきか。最も適当なものを、次の1~4の中から一つ選べ。
解答・解説(原資料)
以下は解答解説PDFから該当問題の説明を収録したものです。採点後に確認してください。
問題 12(聴解・読解の処理プロセス)
中級クラスにおける聴解・読解の指導方法や、情報処理プロセス(ボトムアップ処理と
トップダウン処理)に関する出題である。学習者個々の習得状況や認知傾向に応じた個別
アドバイスや授業の在り方について理解しておく必要がある。
問1 正答:選択肢1
ボトムアップ処理とは、音声、文字、単語等の比較的小さな項目を個別に理解し、それ
らを組み上げて全体的な意味を把握していく情報処理プロセスのことである。
学習者Lさんは「漢字がわからないから単語が理解できず、何を言っているのか分からな
くなる」と述べており、個々の音や文字のレベルに固執している。学習者Mさんは「単語
力がないので知らない言葉が出てくると止まってしまう」と述べており、語彙の処理でつ
まずいて全体把握に至っていない。したがって、ともにボトムアップ処理への依存度が高
いと考えられる。
なお、学習者Nさんは、語彙や文法の問題というより、ニュースの背景知識や出来事の
構造理解に課題を感じていると考えられる。他方、学習者Oさんは、背景知識やスキーマ
(文脈・経験)を活用して内容を推測するトップダウン処理に依存しており、音声の細部
への注意が不足している。
問2 正答:選択肢3
聴解や読解の前作業(プレタスク)の目的は、学習者の背景知識(スキーマ)を活性化
させ、本作業(メインタスク)での理解をスムーズにすることである。そのため、前作業
で実施する活動が本作業よりも複雑で、学習者に過度な負荷を与えるものであるのは望ま
しくない。
選択肢3の「為替レートについて問い、近年の動向について知っている範囲で話しても
らう」活動は、テーマである「円安とインフレ」に関する既存の知識や経験を引き出す取
り組みとして適している。
問3 正答:選択肢1
学習者Nさんは、「ニュースを聞いても理解できず、スクリプトを辞書で調べながら読
んでも意味がわからない」と述べている。このことから、Nさんは言語そのものに難しさ
を感じているというより、ニュースを理解するための背景知識や社会的スキーマが十分に
形成されていないために、背景概念や内容の把握に課題があると考えられる。そこで、選
択肢1のように、母語で書かれた平易な解説文を通じてテーマ全体の概念や基本構造を先
に理解させることは、概念と言語形式との結びつきを得るための大きな助けとなる。
問4 正答:選択肢1
学習者Oさんは背景知識や推測(トップダウン処理)に頼る一方で、「助詞や文の最後
の部分をちゃんと聞いていない」という細部の正確な聞き取り(ボトムアップ処理)の弱
さを自覚している。一般に、この弱点を持つ学習者は少なくないと言われている。という
のも、聴解において、学習者は語彙的な意味を持つ自立語等に意識を奪われがちで、機能
語の聞き取りはおろそかになりがちだからである。
シャドーイングは、聞こえてくる音声を正確に真似して発声するトレーニングであり、
助詞や文末表現などの音の細部の聞き取りをおろそかにしては遂行不可能である。そのた
め、音韻符号化や音声知覚を自動化するのに有効である。
問5 正答:選択肢4
「〜を招く」「〜に伴い」などの特定の言語形式や表現に注意を向けさせる指導は、フ
ォーカス・オン・フォームと呼ばれる。これは、メインタスクで全体の内容(意味)を把
握した後の「後作業(ポストタスク)」で行うのが一般的である。選択肢4の活動は、文
脈の中でそれらの表現がどのように使用されていたかを改めて意識させ、意味と形式を結
びつけて定着を図る取り組みとして最も適切である。
原文はPDFテキスト抽出結果をもとに収録しています。図表・段組み・下線等の視覚的な再現は完全ではない場合があります。