問題16 原文
問1 <資料A>の下線部 a「文学作品の中だったら、単語もどんどん覚えられた」に示 されている記憶の方略として最も適当なものを、次の1~4の中から一つ選べ。
問2 <資料B>の下線部 b「ビリーフ」について、ここで想定されている F さんの「ビ リーフ」の内容として最も適当なものを、次の1~4の中から一つ選べ。
問3 <資料B>の下線部 c「オーセンティック・マテリアル」について、その使用にあ たって留意すべき点として不適当なものを、次の1~4の中から一つ選べ。
問4 <資料B>の下線部 d「メタ認知能力」について、この能力によって学習者にもた らされるメリットとしてあてはまらないものを、次の1~4の中から一つ選べ。
問5 <資料 B>の下線部 e「動機づけの問題から取り組んでみてはどうでしょう…」とい う発言から示唆される取り組みとして最も適当なものを、次の1~4の中から一つ選べ。
解答・解説(原資料)
以下は解答解説PDFから該当問題の説明を収録したものです。採点後に確認してください。
問題 16(記憶の方略と動機づけ)
動機づけ、ビリーフ等、学習者の心理的側面、そして、記憶ストラテジーや認知プロセ
スにスポットを当てた出題である。現実の学習者を想定したうえで、理論的な知見に基づ
いた対応ができるかが問われている。
問1 正答:選択肢2
記憶ストラテジーに関する問題。精緻化とは、覚えるべき項目を頭の中の意味のネット
ワーク内に組み込むことである。文学作品の文脈や世界観と一緒に語彙を覚えるのは、ま
さに精緻化の代表例と言える。
問2 正答:選択肢1
ビリーフとは、言語学習に対する固定観念や信念のこと。学習者Fは「論理や正確さよ
りも感性を味わう方が向いている」と思い込んでいて、精読や論理的読解を遠ざけている。
選択肢2は、Fさんの嗜好を述べているだけであり、学習に影響する固定観念の説明とし
ては不十分である。選択肢3および選択肢4は外部のプレッシャーや環境の話であり、学
習者本人の内部にある「ビリーフ」ではない。
問3 正答:選択肢3
生教材(オーセンティック・マテリアル)を使う最大の目的は、言葉の現実の用法や文
化的背景に触れること。選択肢3中にある「背後にある日本の社会習慣や時代の空気感が
伝わ」ることは、むしろ、オーセンティック・マテリアルの使用のメリットを述べたもの
である。
オーセンティック・マテリアルには明確な利点が多いが、素材の長さ、学習ポイントの
絞り込み、素材に用いられている日本語の難易度調整等が難しく、著作権の問題もあり、
教師側の負担が大きくなりがちである。
問4 正答:選択肢4
「メタ認知能力」とは、自分自身の認知プロセスを客観的に観察・コントロールする能
力のこと。選択肢4は外界を捉えることであり「認知能力」による。
問5 正答:選択肢2
選択肢2の記述は「自己決定理論」に関するものである。学習者は、自分の学習を自分
でコントロールしているという意識、すなわち「自律的に学習できている」という実感が
持てると内発的動機づけを高めやすくなると言われる。F さんの発言より、F さんは自ら選
んだ文学作品を読むことには意欲的であったが、試験のために与えられた課題をこなすこ
とには興味が持てないようであるため、選択肢2の取り組みは、「動機づけの問題からの
取り組み」だと考えられる。
選択肢1および選択肢3は、F さんの考え方を真向から是正しようとする働きかけであ
り、選択肢4は F さんへの批判であるため、動機づけの問題としての取組みとは言えない。
原文はPDFテキスト抽出結果をもとに収録しています。図表・段組み・下線等の視覚的な再現は完全ではない場合があります。